33
- 2016/09/27
- 19:47
会社へ入ったばかりの、あの頃と・・。
まわりの景色も、いつもと変わらない、
あたりには愛想っけもない日常、
ただ、何気なく身をよじった瞬間、胸ポケットの携帯電話が眼に入る。
(あの時は、面接で、緊張していたから、
敵意を含んだ壁のように立ちめぐらされ、
社会のシステムのために構築された擬似的な城のようにも見えた・・)
そして何気なく窓の外に視線を移す――。
木々のあいだを人影が通り、
電柱がまばらな柵のように立ち並び
それは洗練された優美さとはほど遠かったが、
海亀の頭のような日常の突端である車のボディが、
鼻を突合したように迫っていた。
小さな鏡で、跳ねる魚の彫刻・・。
「事故やで。」
つい数分前の電話が頭の中でフラッシュバックした。
いつも感覚する内部よりずっと奥から、不気味な嘔吐感がやってくる。
しかし、大事にはいたらなかった、と。
別に心配することもない、と。
また、何気ない日常に戻った・・。
しかし本当に、何も変わったことはないのかもしれない。
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